ウクライナ危機で過去最高値に到達した金相場!これからどうなる?

日本の金の価格は2022年4月28日に8,969円/gに到達し史上最高値を更新しました。金の価格が上昇している理由としては、コロナウイルスの世界的蔓延・ロシアによるウクライナ侵攻・継続的な円安が挙げられます。いずれの要因も2020年5月時点では解決や終焉の兆しが見えておりません。今後も金の上昇相場は続くのか、いつ下落が始まるのか気になりますよね。本記事では、ウクライナ危機で過去最高値に到達した金相場について解説します。未来は誰にも予知することはできませんが、政府の方針や世界の情報を観察していると相場が転換する兆しを感じることはできるはず。記事内では、金の下落をいち早く察知するためにどのようなニュースに注目すれば良いかもご紹介しています。ぜひ金取引の参考にしてみてください。

 

目次

ウクライナ危機で金相場が上昇中

金の価格の決まり方

2022年の相場

金が下落するのはいつなのか

まとめ

ウクライナ危機で金相場が上昇中

2020年4月13日に日本の金価格は6,513円の値を付け、1980年1月の最高値6,495円を超え40年ぶりに最高値を更新しました。2021年は落ち着いた値動きで推移していたものの、2022年2月にロシアのウクライナ侵攻が始まると金価格は再び上昇。円安の後押しもあり金の価格は上昇を続けています。金相場の上昇の要因を詳しくみていきましょう。

コロナウイルスによる金相場の上昇

実は2019年の後半から中国とアメリカにおける貿易摩擦への懸念から、金価格はすでに40年ぶりの高値付近まで上昇していました。1980年1月の最高値6,495円/gに対して2019年8月の高値は5,557円/gでした。それが2020年1月に始まるコロナウイルスの世界的な広がりを受け、上昇の勢いが増した金価格は2020年4月13日に6,513円の値を付け史上最高値を更新しました。勢いは止まらず同年8月に7,769円/gまで上昇しています。日本経済センターの調査によるとコロナウイルスがもたらした国内の経済損失は17兆円と試算されており、経済不安に対する懸念から金の価格が上昇しているのが伺えます。

ロシアのウクライナ侵攻による金相場の上昇

コロナウイルスの猛威が続く中ではありましたが、2021年の金価格は落ち着いた値動きをしていました。しかし、2022年2月に始まるロシアのウクライナ侵攻により、金相場は再び上昇を始めます。2月28日に7,847円/gの値を付け2020年8月に記録した7,769円/gを上回り、史上最高値を再び更新したのです。1980年1月に最高値を付けた時も、金価格の上昇の要因となったのは旧ソ連によるアフガン侵攻でした。くしくも同国が引き起こした戦争が原因で二度も金の価格が史上最高値を付けたということになります。両国の関係は2022年5月時点でもいまだ緊張状態が続いており、金価格も高値付近での値動きが続いています。

継続的な円安による金相場の上昇

金の値動きに詳しい方の中には、アメリカの金価格は2020年とほぼ同値をつけたが史上最高値は更新していないのではと思う人もいるかもしれませんね。確かに金の米ドル価格(ドル建て)の最高値は2020年の値段を超えていません。ですが金の日本円価格(円建て)では2020年の価格をはるかに更新しているのです。その原因が20年ぶりに130円/米ドルを記録した円安の影響です。2022年3月時点では1ドル115円でしたが1ヶ月で10%以上も値下がりをしたのです。円の値下がりの影響で、金価格の史上最高値は4月28日につけた8,969円/gとなっています。金も日本円も安全資産と言われており経済危機の際には似たような値動きになるのが通例でした。金価格の上昇と円の下落が同時に起こることは歴史的に滅多にないことなので、今の状況は誰も見たことのない異常な状態とも言えるでしょう。

金の価格の決まる仕組み

なぜ異常な状態と言えるのか、今後どうすればいいかを探るため、金価格が決まるそもそもの仕組みを確認しておきましょう。

ニューヨークの金価格と米ドル円

日本の金価格はニューヨーク市場の金価格を参考に算出されたものです。ニューヨーク市場はイギリスのロンドンに並ぶ二大市場として世界最大級の規模を誇ります。金の公式な価格は国際的な基準であるトロイオンス(1トロイオンス=約31.1g)を用いて1トロイオンス=2,000米ドルなどと表示されます。ニューヨークでの価格を参考にトロイオンスをグラムへ、米ドルを日本円へそれぞれ算出した価格が日本での金価格として表示されるのです。コロナウイルスの蔓延やウクライナ侵攻による経済への打撃を受けて、全世界の市場で金の価格が上昇しました。加えて20年ぶりの円安で国内の金の価格はさらに上昇していったのです。米ドルを基準とした金価格が落ち着いていたにもかかわらず、日本の金価格だけが連日史上最高値を更新し続けていたのは、円安を要因とした価格上昇が原因だったのです。

経済危機での金価格上昇

金自体の価格が上昇する仕組みを解説します。前提として、金には不変資産としての特徴があります。不変資産とは、株のように成長することはないが、安定した価値を保っている資産のことです。つまり、安定したいと思う時に購入されるのが金の特徴というわけです。安定したい時というのは例えば経済が危険にさらされている時。経済危機で株や債権の暴落が予想されると、暴落に巻き込まれないよう株や債権から安定した価値のある金に資金を移動させる動きが増えてきます。金の需要が増えると少し高くても購入する人が絶えないので、そのまま価格は上昇していきます。コロナウイルスやウクライナ侵攻による金価格の上昇は、まさに経済危機の回避先として金の購入が増えたために価格上昇が起こりました。

インフレ時の金価格上昇

経済危機以外でも資金が金に移動するケースがあります。それがインフレです。インフレとはインフレーションの略で、物価が上がり続けている様子を表す言葉です。物の値段が上がっているということは、裏を返せば通貨の価値が下がっているということです。通貨の価値が落ちる時も、資金は安定している金に移動するようになっています。理由としては、どんどん価値が下がる通貨を持っているよりも、安定している金を持っておいた方が資産の目減りを抑えることができるからです。インフレというのは時間をかけて発生するので、経済危機に比べて実感が湧きにくい特徴があります。インフレの例として、2012年から始まるアベノミクスがあります。異次元の金融緩和を掲げたインフレ誘発政策です。実は2012年を皮切りにニューヨークでの金価格は40%近くの暴落が発生していました。ですが、日本の金価格は横ばいで推移していました。当時は日本国内でインフレが発生していたため、世界の金価格に比べてかなり金の価格が高かったことになります。世界の金価格はウクライナ危機でコロナショックに迫る上昇を見せましたが高値更新とまではなりませんでした。その中でコロナ禍での最高値から15%以上高い値段まで上昇した要因としては、間違いなくインフレによる価格上昇と言えるでしょう。

2022年の相場

金の価格が決まる仕組みを抑えたところで気になるのが今後の値動きですよね。金の高騰がいつまで続くのか、今後も円安が継続するのかが金価格の行く末を決めることになるでしょう。

金の高騰は続くのか

金の高騰が続くかどうかですが、依然として世界への影響が大きいコロナウイルスの状況とロシアのウクライナ侵攻が今後どのように進展していくのかがカギになりそうです。コロナウイルスについては世界のほとんどの国で新規感染者数はピーク時の5%〜30%で推移しており収束に向かっている兆しが見えてきましたが、2022年5月から「サル痘」と呼ばれる新たな感染症が欧米を中心に流行り出しているそうで、感染症に敏感になっている時代でもあり緊張感が拭いきれない状況です。ロシアによるウクライナ侵攻についても専門家による推測が飛び交っておりますが真意のほどは明らかになっておらず、安心できる状況ではなさそうです。旧ソ連によるアフガン侵攻を要因として1980年に最高値を付けた際は、4ヶ月後に半額にまで値下がりした経緯はありますが、同様なことが起きるとは限りません。世界的なニュースが市場にどのような心理的な影響を与えるのかに注目する必要がありそうです。

円安は続くのか

国内の金価格は、ニューヨークの金価格に加えて米ドル円の値動きが影響を与えます。円安の状況が続けば金の価格も上昇しますし、円高に切り替われば金の価格も下降することになります。円安が続くかどうかは日銀の方針が大きく影響しています。先述の通り、アベノミクスのような規制緩和をする場合、円安が進む傾向にあることが分かります。現在の日銀の方針としては、大規模な規制緩和の継続です。今の日銀のトップ黒田総裁の任期は2023年の1月まで。それまでは規制緩和の流れは続くことでしょう。つまり、円安の流れは今後も継続することが大方の予想になりそうです。

2022年の金価格

では、実際に2022年の金価格はどのように推移していくのか。現在の状況が続けば国内金価格9,000円/gを突破しそうな勢いがあります。ただし、コロナショックの高値をウクライナ侵攻の際に超えられなかったこと、アメリカがインフレ抑制の政策を打ち出していることから、ニューヨークにおける金価格は下落する可能性があります。世界の金価格が値下がりすれば、今以上の強烈な円安がない限りは日本国内の金価格は横ばいになることでしょう。また、ニッセイ基礎研究所のエコノミスト分析によれば、短期的な下落はあっても長期的には上昇基調が続くと予想されています。

金が下落するのはいつなのか

ではその短期的な下落はいつ来るのか、気になりますよね。未来を予測することはできませんが、下落の兆候を情報から読み解くことは可能です。

経済の安定

1つは経済が安定すると金の下落が兆候として読み取れます。理由としては、金は安定したい時に買われますが、経済が安定して成長する見通しが経つと、それまで金で所有していた投資家たちが金を売り株や債権に資金を動かし始めるからです。経済の安定を判断する一つの指標はコロナに関する規制が緩和されることでしょう。飲食店における規制、海外旅行に関する規制などが緩和し経済活動が活発になれば、金の需要が減り価格も下がる可能性が高まります。

リスクの低下

2つ目は戦争リスクの低下が金価格下落へのキッカケにもなります。戦争の勃発で経済不安が起こり金の価格が上昇しました。戦争が収束に向かえば経済の安定が予見されるようになり金の価格が下降していくのでは、という流れです。

日本円の上昇

3つ目は日本円の価値の上昇です。日本円が上昇するとは円高になること、米ドル円が下降することと同じ意味になります。現在は日銀の規制緩和の影響もあり円安が進んでいますが、アメリカでは金融引き締め政策を検討しており規制緩和とは逆行する方針です。世界経済はアメリカの影響を強く受けていますから、日銀の方針がアメリカに沿うようになると円高に転換する可能性が高まります。日米両政府の経済に対する見方に今後も注目が集まることでしょう。

金を売るタイミング

では、具体的に金を売るタイミングはどうしたらということですが、長期か短期かで取引の方針が変わります。経済の専門家たちは長期的には上昇と見ているため、今後5年10年と値上がりを期待するのであれば保有したままという選択肢になります。ただし、短期的には下がると予想する人も一定数いて、それならば安く買って高く売るに従って史上最高値である今のタイミングが売却の良い機会にもなるでしょう。

まとめ

ウクライナ危機が影響した金相場についてまとめます。

  • 金相場はコロナウイルス、ウクライナ危機、円安を要因として史上最高値を更新
  • 短期的な下落があったとしても、今後も金価格の上昇は続く見通し
  • コロナの状況・ウクライナ侵攻の進展・日銀の方針に注目

金価格は40年ぶりの最高値更新、米ドル円は20年ぶりの円安と稀にみる相場状況になっています。過去の状況に照らしての予想が困難な状況ではありますが、本記事が金相場の今を知るキッカケになれば幸いです。

 

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